【2013年 01月 22日】
「日仏マナーのずれ」30 薮内宏

勘定
 日本とフランスのどちらでも、親しい者同士ですと、「割り勘にしよう」、と決めて飲食店に入ることができます。そうでない場合、日本では、食後に、レジで「僕が払う」、「いや、おれが払う」と主張し合うことは珍しいことではありません。「この次には私が」と言える場合は良いでしょうが、そう言えないときにはちょっと困ります。

 食事にさそって入る場合、もちろんさそった人が支払いをします。男性が女性をさそって、勘定を済ませるのは男性である点も、日本とフランスのどちらでも同じです。女性が男性をさそって飲食店に入る場合があります。お礼の場合が普通です。男性は支払いを申し出ますが、女性は、なにかのお礼の意味で男性にごちそうしたいときがあります。その場合には、化粧直しを機会にさりげなくキャッシュカードで勘定を済ませるスマートな方法をとります。

 おつりの出し方は、日本では差し引いた金額を提示します。フランス式では、出された金額に達するまでおつりを足してゆきます。数字の表現に二十進法が混ざっていて暗算しにくいので、日本人が暗算で答えを出すとびっくりされます。頭がとてもいい、と思われるのもちょっと気持ちのいいことですね。

 数字の手書きは日本と少し違います。数字の「1」は片仮名の「イ」、「4」は漢字の「千」、「7」は片仮名の「ヌ」に似ています。2の下部は鋭角でなく、「よ」の下部に似ており、「9」の下部は直線ではなく、曲線です。パソコンの「9」と同じです。「小数点」は「コンマ」で、ときには千単位の区切りに「.」を書くことがあります。日本とは逆です。

 フランスでは、飲食店でサービス料込み(セルヴィス・コンプリ)の場合もありますが、そうではない場合にはチップをあげる必要があります。勘定のときに念のために聞くとよいです。「セルヴィス・コンプリ」の「リ」の音だけを急に高めればよく通じます。喫茶店では、レジではなく、給仕してくれたボーイに支払いをするのが普通です。お札を差し出すと、ボーイは、チップが出せるようにお釣りを渡してくれます。飲食代の5%~10%が一般的です。本当かどうかは分かりませんが、フランスの喫茶店では、ボーイは一定範囲のテーブルを担当する権利を得て、チップが当人の収入の重要な部分になるように聞いております。

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