【2012年 11月 21日】
「フランスの今と昔」 9 中津海裕子

リヨン散策

 食欲の秋にリヨンに行かないのはもったいない、ということで、TGVで2時間かけてリヨンPart-Dieu駅に到着。ホテルに荷物を置いて、さっそく旧市街を散策開始。

 

 まずは、蜂蜜屋に突入。フランスの小規模養蜂家を中心に蜂蜜を集めている。小規模な生産者がほとんどであるが故に、その年の気候によってはほとんど入荷できない種類の蜂蜜も出るらしいが、それを「自然のやることだし仕方ない」と笑って流せる大らかさに好感をもてた。

 

 がっつりと買い込んだ蜂蜜を片手にふらりと脇道に入ったら、リキュールとチョコレートが並んでいる店を発見。両方の会社の共同旗艦店だという。感じのいい店員さんが、薬のようなものから香り高いオレンジリキュールまで、あれもこれもと試飲を勧めてくれる。この調子だと、夕食前のアペリティフは必要なさそうだ。店中のリキュールを味見しかねない勢いで飲んでいると、飲みっぷりに興味をもったのか、上品なマダムに話しかけられた。リヨン旧市街に代々住んでいるものの、本人はアルジェリア戦の折に看護婦として海の向かいに渡って、6年くらいマグレブ暮らしをしていたとかで、当時のアルジェリア〜モロッコでの生活や地元の人々との交流を、まるで昨日のことのように鮮やかな語り口で綴ってくれた。さらに、彼女がリヨンに戻った後、Pieds-Noirs(アルジェリア人及び北アフリカに移住した仏人の通称)のアクセントがあると周囲に言われ続けたという話になり、訛りつながりで、リヨン訛りとギニョール(人形劇)の話になり、ギニョールには独特の言い回しやアクセントがあって・・・etc, etc。やっとギニョールの話がひと段落ついたと思ったら、今度は彼女のアパートの話になり、中は一通り改装された後だけど、建物自体は中世とルネサンスが混じったものだから、窓やバルコニーの造りが特徴的で・・・etc, etc。まさか、試飲のリキュール片手にフランス−アルジェリア史とフランス語と建築の授業を受けることになるとは・・・

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 リヨンに来たからには、やはりブション(Bouchon)でクネルをいただきたい。今回はChez Hugonに行ってみた。雰囲気を一言で表せば、定食屋だ。個人的にはそういうのも好きではあるが、伝統的なリヨン料理を食べたいけれど、少し華やかな雰囲気も楽しみたいという場合であれば、窓から見える店内の雰囲気を参考にしつつ探すといいだろう。

  

 Part-Dieu駅からの移動前のお楽しみは、屋内市場(Les Halles)だ。市場というよりは、食専門のショッピングモールと言った方がしっくりきそうな近代的な建物の中には、リヨンの食を支えるあらゆるお店が入っている。また、イートイン可能なお店も多く、昼時は平日でも満席に近い状態だ。せっかくなので、ポール・ボキューズの南仏(地中海)料理の店でランチをいただいた。食の町の旅を締めくくるにふさわしい味とサービス精神だった。

2012年11月、リヨン

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