【2011年 11月 17日】
「日仏マナーのずれ」15 薮内宏 (イラスト 芦野宏)

ウエイター
 日本では、料亭や旅館の仲居さんを顎で使うかと思えば、一流レストランのウエイターが見ているのを窮屈に感じる人がいるようです。しかし、ウエイターの仕事は、お客が不自由なく、楽しく食事できるように支援するのが仕事であり、次の料理を持参するタイミングに気を配ったり、飲み物をついだり、ナイフかフォークを落としたら、即座に新しいのと取り替えたりするためにいます。使い方の分からない道具の扱い方も遠慮なくウエイターに聞くべきです。特別なサービスを受けたら、「メルシ」(ありがとう)の一言を言うのを忘れないで下さい。フランス人のいるレストランでしたら、パンのお代わりを勧めることも仕事の内です。

 フランス人は話をするとき、手を実によく動かします。フランスは、四方を外国に取り巻かれ、地続きのために外国人と接触する機会が多いために、フランス人は、ボディーランゲージにものを言わせないと通じにくかったのが習慣になったのでしょう。それで、話に夢中になっていると、ナプキンを落としたり、コップが倒れたり、切っている肉片か野菜がお皿から飛び出したり、ソースがはねたり、思いがけない事故が起ることがあります。あわてて仰々しい動作をして周囲の注意を引くことはありません。ウエイターに合図すれば、適当に処理してもらえます。そのサービスに対して軽くお礼を言えば充分です。

 手で呼び寄せるとき、日本では指先を下向きにして、なにかをかき寄せるようなしぐさをしますが、欧米式では、手を半ば握りしめて、人指し指を上向きに立てて、手前に向けて2回くらい動かします。

 喫茶店のウエイターには、その店の店員ではない人もいますので、勘定をするとき、チップを忘れることができません。それがウエイターの収入に欠かせない要素になるからです。飲食代の1割か1割強であり、勘定のとき、お札を渡せば、チップ代が払えるようにお釣りを持ってきます。もっとも、店によってサービス料込みの場合もありますので、「セルヴィス・コンプリ」(サービス料込み)かと聞く方が良いでしょう。一番最後の「リ」の音を特に高くすれば意志が良く通じます。

 ウエイターではありませんが、避暑地の飲食店では、楽士達がいて、お客に好きな曲を聞いて回ることがあります。もしも曲を注文したら、その演奏後にチップ(プールボワール)をはずむ必要があります。お大尽気分を味わうのにいいかも知れません。「プールボワール」はもともと「飲むために」を意味します。「酒手」と同じですね。

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