【2012年 11月 22日】
「フランスの今と昔」 10 中津海裕子

キノコ祭りへ行こう

 リヨンから電車(TER)で1時間弱のサンテティエンヌから、さらに1日2本のバスに2時間ほどゆられて、シャンボン=シュル=リニョンに到着。第二次大戦中はユダヤ人の受け入れ地として、現在は夏の避暑地として知られるコミューンだが、今回の目的地はここではなく、そこからさらに30分ほど車で行ったサン=ボネ=ル=フロワだ。

 サン=ボネ=ル=フロワは、「キノコの魔術師」ことレジス・マルコンのレストラン(ミシュラン三ツ星)で一躍有名になったコミューンだ。毎年11月の第一土曜・日曜にキノコ祭りが開催されている。周辺地域からの参加者も多く、11月のフランス山間部の天候の不安定さをものともしない賑わいをみせた。

    

 コミューンの入り口から所狭しとスタンドが並ぶ市では、セップ、ジロール、トリュフをはじめ、普段あまりお目にかかれないくらい種類豊富なキノコはもちろん、アルデッシュ産の栗や、サヴォワ地方のチーズにソーセージ、南フランス産を中心としたワイン、オリーヴオイル、レンズ豆などの南仏〜アルプスの特産品を買うことができる。また、サン=ボネ=ル=フロワや周辺地域のシェフ・パティシエ達によるキノコ料理のデモンストレーション、アマチュアのキノコ料理コンテスト、キノコアートコンテスト、レジス・マルコンによるキノコの取り扱い講座といったイベントが、祭りをさらに盛り上げていた。

    

  ランチは、1日目はマルコンのビストロで、キノコをお洒落に取り入れた料理に舌鼓を打ち、2日目は祭りのために用意されたランチセットを試してみた。ビストロの料理は、さすがといったバランスのよさだった。今回は席がとれなかったが、レストランの方にも期待が持てる。祭り用のランチはボリュームたっぷりで、寒い地方らしい、濃厚かつ素朴な味付けがこれまた美味しい。 

     


 この祭りでのもうひとつの楽しみが、道ばたで自前の乾燥キノコ(主にセップ)を売っている住人達との会話だ。キノコの乾燥方法ひとつとっても、昔ながらのやり方で吊るして天日干しをする人もいれば、キノコの色がきれいに出る陰干しの人もいる。さらに、干すのには虫のチェックをしやすいバットの上がいいと言い切る人もいれば、木の上に並べた方が美味しくなると主張する人もいる。ここにお薦めの調理法まで加えると、もはや十人十色どころか五十色くらい出てきそうな勢いだ。キノコという食材が、この地域の人々の生活にいかにとけ込んだものかを垣間見た気がした。

2012年11月、サン=ボネ=ル=フロワ

Saint-Bonne-le-Froid2012年キノコ祭りについて(仏語):
http://www.saintbonnetlefroid.com/saint-bonnet-le-froid/foire-aux-champignons/article/foire-aux-champignons-2012

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