【2012年 09月 20日】
「日仏マナーのずれ」24 薮内宏

中座
 電話などで止むを得ず食事中に中座しなければならないとき、ナプキンを椅子の背または腰掛ける所に置くことも知られています。食卓上に置けば、食事が終わった印になることも知られています。お尻を乗せるところに置くのはちょっといやであり、椅子の背に乗せればずり落ちる心配があります。中座の記しになるもう一つ方法があります。畳んだナプキンをお皿の下に挟んで、食卓の縁から少し垂らしておく方法ですが、とっさの場合には面倒ですね。

 中座の時にナプキンをうっかり食卓の上に置くと、食事を終えた、と言う合図をしたと勘違いされて、食べたかった料理が残っているお皿も下げられて、がっかりすることになります。

 普通の食事は、人と会っても1時間足らずで終りますが、パーティーの食事は、1時間で終らないと覚悟する必要があります。2時間を越えたときもありました。それでも食事中にトイレに行くのは感じの良いことではありません。携帯電話の呼び出し音も興ざめですが、仕事の都合上、やむを得ないときがあります。なんらかの理由で中座しなければならないとき、「ちょっと失礼」と隣の人に言って、さりげなく振舞うと良い。

 主婦は、自分で料理の持ち運びをしないときにも、お手伝いさんに指図するために何回か黙って中座し、用事が済めば黙って戻ってくることがあります。主婦は大変です。牛のバラ肉やすね肉とじゃがいも、にんじん、キャベツ、セロリに香り付け用の月桂樹の葉で作るポトフを入れたスープ鉢を食卓の真ん中にでんとすえるのでしたら簡単でしょうが、それは家庭料理であって、パーティーには向きません。日本でも、鳥の水炊きやおでんもそうでしょう。
 
 フランスにいたころ、大きな靴屋では、はいた靴が足にぴったり合っているかどうかを確かめるためにX線で確認されていましたが、日本ではそうではなく、ときには靴が足に完全にあっていないことがあります。それで、長時間座っているとき、靴を半ばぬぐことがあります。乗物だけでなく、晩餐会のときにもそっとそうする人がおります。中座の場合に限らず、急いで立ち上がるとき、靴がぬげて、行方不明にならないように用心して下さい。

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